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<自閉スペクトラム症のスペクトラムとは?>


自閉症と自閉スペクトラム症はどこが違うのでしょうか? スペクトラム症とはどういうものでしょうか? 大雑把に回答すると、自閉症も自閉スペクトラム症も同じものです。 こういうと専門家の方からは異論があるとは思いますが、もう少し詳しい解説はのちほどします。

「スペクトラムってなんですか?」 というご質問をたくさんいただきました。 「自閉症」という漢字の部分はわかるけど、スペクトラムってどういうこと?と思われたのではないかと思います。 まずは、スペクトラムの意味から確認しましょう。 これは医学用語ではありません。よくある発見者の人名をつけた病気や症状名でもありません。

スペクトラムはフランス語由来、スペクトルは英語由来の表記で、同じ意味で使われています。 辞書で調べると、

「音や光の成分を分解し、波長の順に並べたもの」 と出てきます。

この現象、実は皆さんもご存知なのではないでしょうか。

光を三角のガラスを通してプリズム分解すると赤橙黄緑青藍紫の7色に分かれます。その境目はくっきりしているわけではありませんが、人の目はその色の違いを認識しています。あの有名なニュートンがこの光が虹色に見える現象をスペクトルと名付けたそうです。 音楽の分野においても、音の周波数を波形で表す図を見たことがあるのではないでしょうか。探偵もののアニメなどにも音の波形をにらみながら「ここで電車の音がしているから現場は線路のそばだ!」というような場面があるかもしれません。

このように、スペクトラムというのはその成分を分解しきれいに並べたもののことを指します。そこから光や音だけでなく、「意見・現象・症状などが、あいまいな境界をもちながら連続していること」という意味も持っています。

では自閉スペクトラム症とは? この症例名に分類される症状が1つではなく、虹色のように境目はあいまいながらもカラフルに並んだ症状をもっているということを指しています。

世界的に精神疾患・精神障害の分類マニュアルとなっているDSM-5(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの第5版)が2013年に出版されました。その前の第4版は2004年の出版ですので、19年ぶりにかなり内容の改訂も行われました。日本語訳にする課程においても診断名を見直された項目がたくさんあります。第4版まで発達障害といえば「自閉症、アスペルガー症候群、多動性注意欠陥」と分類されていたものが、第5版になり、「自閉スペクトラム症」という言葉が使われるようになりました。これを英語で表記するとASD(Autism Spectrum Disorder)です。アスペルガー症候群という呼び名が最近ASDになったという印象をお持ちの方もいるのではないでしょうか。分類的には、ASD=自閉症+アスペルガー症候群、そして虹色のように連続性がありながらも違う色の症状を見せている分類と言えるのではないしょうか。 精神科医の先生が分類し研究するために使う名称ですから、名称や分類だけを突き詰めても実生活のなかでの困り事や症状とは必ずしも一致しないかもしれません。DMS第4版の時代の書籍なども参考になるものがたくさんありますが、現在は読むと名称の違いに混乱してしまう方もいるかもしれません。

発達障害と診断の出る方、児童精神科にいっても診断名はつかない方、診断名をつけられたくない方、診断名をはっきりさせて生きやすくなる方、日々のコミュニケーションや学習に困難を感じている方、さまざまな形があります。

私の運営する「こどもパソコン教室」では、発達障害を持った児童も含め、好きなことをもっと好きになる方法や、知りたいことを調べる方法、もっとたのしく簡単に学習する方法を探して、生きていく力をつけていくことを日々実践しています。


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